当院で実施中の臨床研究について
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研究内容の紹介
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心肺停止患者の蘇生処置における脳内rSO2に関する前向き多施設共同研究

研究課題名「心肺停止患者に対する蘇生処置における脳内rSO2(regional saturation of oxygen)のモニタリングに関する前向き多施設共同研究」
研究責任者:塩崎 忠彦 大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター 助教

①対象:調査対象期間は試験参加全施設で実施の許可が得られた時点から2019年03月31日までの間において、各施設に救急搬送された16歳以上の来院時心肺停止患者を対象とする。ただし、来院時の初期波形が心室細動(Vf)、無脈性心室性頻拍(pVT)の場合は除細動が必要となり、リズムチェックの間隔を長時間あけるべきではないと考えられるため、本研究の対象患者からは除外する。

②研究機関名:大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター、大阪府警察協会、大阪警察病院救命救急科、独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 救命救急センター、長崎大学病院救命救急センター

③目的:心肺停止患者に対するできる限り長時間の連続した胸骨圧迫が、心拍再開率を改善させ、従来の方法で予期できない有害事象を生じないということ証明すること

④方法:rSO2(regional saturation of oxygen)とは、動脈・静脈・毛細血管を含む酸素飽和度のことである。来院直後より脳内rSO2モニタリングを開始するとともに初期波形を確認する。Vf、pVTでなければ本研究の対象患者とする。心肺蘇生法はJRC蘇生ガイドライン2015に準拠し行い、胸骨圧迫に関しては機械的CPR装置を用いたCPR(Load Distributing Band CPR:以下LDC-CPR)で行う。rSO2初期値(来院1分間の平均値)が50%以上なら、『最大上昇量が10%を越えるまで、もしくは16分間』胸骨圧迫を続ける。初期値が40-50%なら、『最大上昇量が20%を越えるまで、もしくは16分間』胸骨圧迫を続ける。40%未満であれば、『最大上昇量が35%を越えるまで、もしくは16分間』胸骨圧迫を続ける。16分以降は4分毎のリズムチェックとする。万が一、リズムチェックの際に、除細動が必要な波形が出現した場合には除細動を行い、以降は現行ガイドライン通り、2分毎にリズムチェックを行うこととする。

⑤意義:脳内rSO2は額にセンサーを貼付するのみで無侵襲かつ連続してモニタリングをすることができる。心肺停止患者における蘇生行為は、胸骨圧迫と昇圧剤投与、2分毎の心電図モニターによるリズムチェックを行う。しかしながら、リズムチェックを2分毎に行うことが良いとする明確な根拠はない。我々が今まで行ってきた心肺停止患者の脳内rSO2モニタリングを用いた検討により、脳内rSO2値が自己心拍再開の予測に用いることができることが分かってきている。このことから、脳内rSO2値をモニタリングしながら胸骨圧迫を継続することが、リズムチェック時に胸骨圧迫を中断することで生じる冠動脈血流の低下および脳血流の低下を防ぐことができ、この結果として自己心拍再開率の上昇および神経学的機能予後の改善が得られると考えられる。本研究により心肺停止患者に対する新しい蘇生戦略の開発につながる可能性がある。

⑥個人情報の扱い:「連結可能匿名化」を行い、個人情報を保護する。

⑦問い合わせ先:大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター 竹川良介、塩崎忠彦

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